研究概要 |
長時間におよぶ過激なスポーツが心臓の障害となることを我々は報告してきた(Musha H, et al.:Curr Ther Res 1997;58;587-593.、Nagashima J, et al.:Int J Sports Cardiol 1999;8;77-82.)。その要因としての冠動脈spasmの関与を昨年度の研究で明らかにした。本来、100km走行可能な運動選手は、それなりのトレーニングを積んでいることから、100kmの負荷が直接的に心筋を傷害することはないとの考えもある。トレーニング量と心臓形態の検討では、トレーニング量に依存するとの報告(Nagashima J, et al.:JACC 2003;42:1617-1623)がある。しかし、心形態の拡大は、スポーツ心臓の特徴ではあるが、拡大している状態からだけでは障害による可能性も否定は出来ず、長期間の観察と強度の運動トレーニング中止後の心拡大縮小が、障害かスポーツ心臓かの判定となる。本年度の研究においては、スポーツ心臓と障害心臓の鑑別を各種逸脱酵素を用いて検討したが、スポーツ選手における明らかな差異は認められなかった。次年度、これら3年間のデータの再評価を行い、研究のまとめとする予定である。
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