日内あるいは年周リズムが運動時におけるパフォーマンスや体温調節反応に如何に影響するかを解明する目的で本年度は以下3実験を実施した。 (1)短期暑熱馴化後における寒冷暴露と体温調節反応の関係:短期暑熱馴化後、気温16℃、相対湿度40%に設定した環境条件で生活させたとき、その前後における体温調節反応の差異を検討した。平均皮膚温は寒冷暴露で運動時、安静時とも有意な差が観察された。乾燥空気法で得た局所発汗量(前額部・前腕部)と深部体温(鼓膜温・食道温)の直線の傾きは寒冷暴露前に比べ寒冷暴露後は緩かった。しかし平均体温と発汗量の関係を表す回帰直線の傾斜は両者で差がなく、短期暑熱馴化したヒトではわずか半日程度の寒冷暴露では体温調節反応への影響は少ないと推察された。 (2)サーカディアンリズムと運動時体温調節反応及び運動パフォーマンスの関係:毎日15時に運動させた被験者に9時と15時に運動させ、そのときのAT(V-slope法)、peakVo_2、発汗量、血液成分を測定分析した。短距離走トレーニング者はATや、peakVo_2は15時より9時に優れた傾向を示した。 (3)暑熱馴化と体温調節及び運動能:冬期に金沢市在住の運動鍛錬者を短期暑熱馴化が完成すると考えられている10間熱帯(気温35℃)環境(タイ:ナコンシタマラート県)に暑熱馴化させたときの体温調節反応の経日的変化及び暑熱馴化前後のAT(V-slope法)、peakVo_2、発汗量、血液成分を分析した。また発汗量が少ないと報告されているタイ人と日本人の運動時発汗量を比較した(解析中)。 (4)暑熱下での持久的運動鍛錬の違いによる下半身陰圧負荷時循環調節反応の差異を検討した。(金城大学紀要第2号)
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