前回、シーズンオフに一定期間トレーニングを中止した後の再トレーニング期間に筋力トレーニングを実施している女子ソフトボール選手を対象に体重1kg当たり2gの高蛋白質減量食を35日間摂取させ、この減量プログラムの適用の可否を検討した。その結果、シーズンオフで増えた体脂肪量を減少させ、十分に除脂肪体重を維持することができたことから、この減量プログラムは適用可能であることを明らかにした。しかし、減量時の適切な蛋白質摂取量については不明であった。そこで本研究は、蛋白質の摂取量を体重1kg当たり1.5gとした減量食による減量の効果を明らかにして、減量時の適切な蛋白質摂取量を検討することを目的とした。シーズンオフ後に体脂肪量が増えた者5名を被検者とした。減量期間は35日間で1日当たりのエネルギーのマイナス分は500kcalとし、減量食の蛋白質摂取量は体重1kg当たり1.5gに設定した。この間ソフトボールの練習を週に6日、1日当たり約5時間程度実施していた。また、筋力トレーニングは週に3日、バーベルを用いた10種類のウェイトトレーニングを10RMの負荷で1セット実施した。測定項目は、体重、身体組成、最大等尺性筋力、最大無酸素性パワー、最大酸素摂取量、血液、尿成分であり、測定はシーズンオフ1ヶ月後(減量前)と減量後の2回実施した。その結果、減量後の体重は5名の平均値で減量前より0.55±0.67kg減少し、除脂肪体重は0.55±1.38kg増加したがいずれも有意な変化ではなかった。しかし、体脂肪量は1.07±0.22kg有意に減少した。また、尿中総窒素排泄量から見た窒素出納は2.5±1.7g正出納であった。一方、運動諸機能についてはどの測定項目も減量前と減量後との間に有意な差がなかった。以上の結果より、蛋白質摂取量が体重1kg当たり1.5gの減量食を用いた減量プログラムでは、除脂肪体重を減少させずに運動諸機能を減量前の水準を維持させながら体脂肪を減少できることが明らかとなった。
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