幼児を対象にした運動能力測定の結果、4歳後半からすでに男女差がみられ、女児では運動能力評定点が高い低いに別れる二極化傾向がみられた。保育者らの観察から、日常の生活のなかで運動する子としない子に別れているのではないかという印象が語られたため、生活習慣記録機(ライフコーダ)を用いて4歳児の身体活動量を測定した。結果は以下のようであった。(有意水準P<0.05) 1.1日あたりの平均歩数は、男児13757歩、女児11138歩であった。女児では運動能力上位群が下位群に比べて有意に多かった。男児では両群間に有意差が認められなかった。 2.1日あたりの平均運動量は、女児では運動能力上位群が下位群に比べて有意に多かった。男児では両群間に有意差が認められなかった。 3.1日あたりの全運動の平均積算時間及び高強度の平均活動時間は、女児では運動能力上位群が下位群に比べて有意に長かった。男児では両群間に有意差が認められなかった。 これらのことから、調査対象園の女児に関しては日常生活のなかで運動する子と運動しない子に別れている傾向がみられ、それらが運動能力に影響を及ぼしていると考えられた。また、運動能力下位群女児に対して保育者が感じていた「静かに遊ぶことが多い」という漠然とした印象が活動歩数や運動強度の問題として示された。さらには行動観察から、活動量の少ない原因として他者と関わる力の弱さが認められ、身体活動意欲形成の重要な要因が示唆された。 また本研究では、これらの基礎的な測定調査と合わせて、活動意欲形成のための「こころとからだで表すプログラム-身体表現あそび-」の方法を検討し保育現場での実践を試みている。
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