研究概要 |
初年度はまず、ローイング運動が中高年者の呼吸循環器系応答(最大酸素摂取量:Vo2maxと心拍数:HR)に及ぼす影響を明らかにするために、中高年男性ボート選手(N=10,年齢62±2歳、体重72±5kg,パフォーマンス・タイム495±15sec)とパフォーマンスが中高年ボート選手と同レベルの若年男性ボート選手(N=10,21±1歳,61±6kg,494±14sec)、及びレベルの高い若年男性ボート選手(N=10,22±1歳,80±8kg,387±6sec)を対象として、ローイング・エルゴメータを用いた漸増負荷テストを行った。中高年ボート選手の最高心拍数(HRmax)は両若年ボート選手と比べて著しく低くなっていた(169±4vs.189±7,188±7bpm, P<0.01)。中高年ボート選手のVo2maxは高レベル若年ボート選手に比べて有意に低かった(3.3±0.4vs.5.1L/min, P<0.01)。一方、中高年ボート選手のVo2maxはパフォーマンスを一致させた若年ボート選手の値(3.1±0.3L/min)と同レベルであった。この結果から、ローイング・パフォーマンスはVo2maxと極めて高い相関関係があることが確認された(r=-0.97,p<0.001)。本研究は中高年ボート選手のローイング・パフォーマンの低下は加齢こ伴うHRmaxの減少と関連したVo2maxの低下を反映していることが示唆された。また、若年ボート選手を対象として、ローイング・パフォーマンスと脚筋力の関係を検討した結果、高い正の相関関係を認めた。 さらに、ローインク運動の呼吸循環器系応答の特徴を明らかにするため、若年ボート選手を対象として、ローイング・エルゴメータによる漸増運動負荷テストを行い、トレッドミルを用いた負荷テストにおける酸素摂取量と心拍数の応答を比較検討した。その結果、Vo2maxはローイングの方がランニングよりも約3%高くなっていたが、HRmaxはむしろ低くなっていた。最大下(@4mMLa,@6mMLa)においてもVo2とHRの関係は最大負荷レベルと同様な傾向が認められた。
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