研究概要 |
ローイングを日常規則的こ行っている中高年男性(R)の糖・脂質代謝指標について、BMI、体脂肪率がほぼ同様なウォーキング愛好者(W)と比較した。その結果、糖・脂質代謝に関連する各種パラメータのいずれも両グループ間に顕著な差が認められなかった(R vs.W:血糖値106±15vs.96±9mg/dl,HbA1c5.1±0.7vs.4.8±0.5%,インスリン 7.8±4.8vs.8.3±5.5μU/ml,HOMA-R 2.1±1.4vs.2.0±1.3,総Chol213±36vs.202±29mg/dl,LDL-Chol130±32vs.126±26mg/dL,HDL-Chol58±10vs.55±15mg/dl,LDL-/HDL-Chol2.32±0.8vs.2.46±0.8,トリグリセリド128±48vs.111±25mg/dl)。 中高年男性ローイング愛好者(RT:体脂肪率20±5%,Vo2max38±4ml/kg/min)、及び同年齢層の一般人(UT:21±6%,32±4ml/kg/min)の身体各部位の横断面積(CSA)をMRIにより測定し、骨格筋のCSAを検討した。その結果、身体各部のCSAは筋、脂肪、骨をあわせた全体では、大腿部(RT:202±18vs.UT:199±22cm2),上腕部(60±9vs.59±6cm2),体幹部(353±46vs.367±56cm2)のいずれにおいても両群間に有意な差はみられなかった。しかし、各部位での筋の面積を比較すると大腿部で10%、上腕部で16%、体幹部で13%だけRT群がUT群よりも大きく、それぞれの部位での筋の面積比率は統計的に有意に高かった。 中高年女性の身体組成と骨密度に及ぼすローイング運動の効果について検討した。ローイングを愛好している中高年女性(RT)は運動習慣のない人々(UT)よりも体脂肪率(RT:25±6vs.UT:31±4%)が低く、LBM(39±3vs.35±3kg)が多かった。RTの全身骨量はUTよりも高く、骨密度も全身(0.993±0.087vs.0.954±0.080g/cm2)、腰椎(0.912±0.135vs.0.857±0.120g/cm2)ではRTがUTより高くなっていた。 以上の研究によって、中高年者に対する日常規則的なローイングの健康増進・生活習慣病予防効果が示唆された。
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