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2003 年度 実績報告書

現代フランス語圏人文地理学の学的構造をめぐる議論

研究課題

研究課題/領域番号 13680086
研究機関九州大学

研究代表者

野澤 秀樹  九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (00036998)

キーワード現代フランス語圏人文地理学 / 認識論的切断 / プロブレマティーク / 存在 / 言語 / 情報 / 空間戦略 / 空間スケール
研究概要

1)フランス語圏における現代人文地理学は、1968年のいわゆる「5月革命」を契機に成立する。古典地理学から理論・計量地理学への流れは方法的な手続き上の進化が認められるが、共通して認織論を欠いていると批判される。現代地理学は、「認識論的切断」を有するかどうかに論点がある。「認識論的切断」とは、G.バシュラールやL.アルチュセールらの意味であり、「問いの構造」、プロブレマティークが問題となる。当時フランスでは構造主義、ポスト構造主義、実存主義、現象学、マルクス主義の再構築など哲学的、思想的議論がなされており、地理学もそれらの影響の下にあった。
2)従来からの地理学の諸対象に対して認識論的反省、つまり認識論的切断を行うところに現代地理学の特色がある。そのことを具体的にみるために、フランス語圏の現代人文地理学の「問いの構造」の基本を示していると思われる著作をとり上げ検討した。
(1)E.ダルデルは、『大地と人間-地理的実在の本質』において、地理学という学問は「存在」と「認識」の狭間にあり、後者客観的「認識」をもって近代地理学の発展を考えてきたが、自然・大地を前にした人間は、その原初的経験からしても人間存在そのものを問わざるを得ない、という。
(2)自然・大地と直接に対峙し、原初的体験を問題にするダルデルの存在論地理学は、本質主義に陥る危険が無いわけではない。自然・大地との関係を「労働・言語(情報)」を媒介にして捉えるC.ラフェスタンらの『労働・空間・権力』は、マルクスの考えを踏まえながら、言語理論・情報理論の考えを導入し大地との関係という地理学の基本問題に対する新たな認識視点を与えている。
(3)また、Y.ラコストは、土地、空間の「戦略的視点」を重視する。かれは『地理学、それはまず戦争に役立つ』という衝撃的な著作を著わしたが、空間戦略としての地理学の役割、空間戦略における空間スケールの重要性を説いている。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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