近年地球環境問題の深刻化は、企業経営の思想を一変させ、環境保全に向かって努力が重ねられている。資源の有効利用と使用量の削減、リサイクル、再利用はとくに製造業にとっての基本であるがその状況は業種によって異なっている。一方、企業を抱える地方自治体においてもさまざまな地域レベルで、企業を取り込みながら環境共生型の地域づくりに勤めている。 そこで、今年度は、まず、鉄鋼業の生産体制の変化と北九州市におけるエコタウン形成の実態、大分市における都市域環境に考慮した工場作りと廃棄物処理のしくみ、東京、および、東京湾などのインパクトを強く受けている川崎市における鉄鋼、石油化学工業の構造変化と環境に考慮した都市へのリニューアル、新居浜における観光業と結びつけたエコシステム構築など重化学工業におけるエコシステム構築の状況について調査、分析した。次に、地域社会と強く結びついて発展してきた木工、酒造、繊維などの地場産業については、伝統社会との関係、観光産業とのかかわりなども考慮しながらエコシステム作りについて調査、分析を進めた。次年度においては、これらの調査、研究結果を補うとともに、機械部門の地方進出と環境共生についても調査、分析を行う予定である。
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