近年地球環境問題の深刻化は、企業経営の思想を一変させ、環境保全に向かって努力が重ねられている。資源の有効利用と使用量の削減、リサイクル、再利用はとくに製造業にとっての基本であるがその状況は業種によって異なっている。一方、企業を抱える地方自治体においてもさまざまな地域レベルで、企業を取り込みながら環境共生型の地域づくりに勤めている。 前年度までに、鉄鋼業の生産体制の変化、エコタウンの形成と廃棄物処理のしくみ、東京、および、東京湾岸の川崎市における鉄鋼、石油化学工業の構造変化、新居浜における観光業と結びつけたエコシステム構築など重化学工業におけるエコシステム構築の状況、また、近年の成長産業であるエレクトロニクス、自動車工業の展開、大都市工業地域の核心部と周辺部、さらに、地域社会と強く結びついて発展してきた木工、酒造、繊維など地方の地場産業につき地域文化・社会とのかかわりなども考慮しながらエコシステム作りを柱に調査、分析をおこなった。 平成15年度においては、かつて公害問題で悩んだ水俣市における環境共生型工業地区としての再生の実態、繊維産業で栄えた内陸の上田盆地における産業構造変化、機械工業の活性化と環境共生などについて調査、研究を行うと共に、それらの実態調査を通して、工業の持続的発展とエコシステム構築の方向を検討し、21世紀における工業地域政策のあり方を示した。
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