2ヵ年にわたって、4地域において、都市的な生活サポート機能の立地状況とその利用に関して、ヒアリング及び簡単なアンケート調査を行なった。いずれも県庁所在地ないしそれに準ずる中核都市から1時間以上の時間距離を要する地域である。対象とした生活サポート機能は、病院、買物(食材と衣料)、外食、金融、旅行エージェント、書店、高校、自動車教習所、図書館等である。その結果を要約すれば次のようになる。 富良野地域では、高レベルの機能になると、中核都市である旭川の利用が目立ち、旭川に近い上富良野町のみならず、遠い南富良野町にも旭川の利用が見られ、中核都市の利用が不可欠になってきている状況が窺われる。 遠野地域では、遠野から見て花巻側にある宮守村・東和町に遠野市の機能を利用する人が格段に少なく、より上位の都市の利用が目立つ。 確たる中心都市を持たない雲南広域圏では、域内の中で多少のロードサイドショップの立地が見られる三刀屋町の利用が見られるものの、広島県に近い側は三次市、出雲氏に近い側は出雲市の利用が顕著であった。一方、松江市の利用も少なからずあり、県庁所在地の力を示している。 やはり確たる中心都市がない阿蘇地域では、機能利用のための行動が、東西南北に分化し、その上に熊本市方面の機能利用が重なっている。雲南地域と同様、これは市町村合併の方向にも大きな影響を与えそうである。 以上すべての地域において共通することは、地方中核都市の吸引力の強さであった。このことは、日常的に遠距離の移動をいとわない生活が現実に展開していることを示しており、ゆとりある多自然居住地域の創造のためには、圏域の中の小都市の機能強化と魅力の増大が何よりも重要であり、周辺町村との新たな地域連携システムの樹立が不可欠なことを物語っている。
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