本年度は、研究課題に関して、関係文献の整理とイギリスでの事例調査を実施し、リーズ市、クロイドン市、カージフ市等の関係役所機関などでタウンセンターの動向と再生に関する資料の収集を行った。まず、タウンセンターに関する全国的な政策動向とタウンセンターマネージメント事業の展開と実態について検討した。その結果、(1)タウンセンターを含む既存の小売商業地区の再生事業が1990年代前半から全国的に展開し、今日ではそれが小売商業開発の焦点となってきたこと、(2)その内容は小売商業地区の規模によって、シティセンターないし大きな規模のタウンセンターを対象にしたタウンセンターマネージメント事業とディストリクトセンターないしマーケットタウンを対象にした小売商業環境の再生事業に大別され、それぞれがその目的・事業内容・事業主体をことにしていること、などが明らかとなった。 現在、現地調査を実施してきたタウンセンターの再生に関するイギリス都市の事例について検討している。現時点では、(1)タウンセンターの現状と課題は、1960年代以降の当該タウンセンターで展開してきた各種の(再)開発事業や小売商業の地域政策を反映するものであり、今日のタウンセンター再生事業はこうしたタウンセンターの歴史的展開過程のなかで、位置づけと評価を行うことが必要となること、(2)タウンセンターマネージメン主体の違いによってその事業内容等がことなり、さらにディストリクトセンターないしマーケットタウンを対象にした再生事業はスーパーストア等の大型食料品店舗の誘致を中心に展開してきていること、などが判明した。
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