研究概要 |
本年度は、前年度までおよび本年度に収集した関連資料の整理・検討を行い、研究成果の取りまとめ作業を実施した。タウンセンターの再生は、小売商業地区のネットワークの存続・強化をめざした1990年代以降の小売商業の地域政策(PPG6)によるものであるため、その政策・施策の内実について検討した。その結果、小売商業地区の規模によって、小売商業地区の再生をめぐる政策課題や手法ないし再生プランが異なることが明らかとなった。そこで、小規模タウンセンターを含む小規模小売商業地区の動向とその再生課題・再生事業の実態(伊東、2004)と小売商業地区のネットワークの頂点に位置する大規模タウンセンターないしシティセンターの再生に関する実態(伊東、,2004論文発表予定))について検討した。 小規模小売商業地区の再生は、とりわけフードデザート問題が顕在化してきている地域において、近隣再生事業の一環として進展してきており、スーパーマーケット・スーパーストアを核とした小売商業の再生事業が中心であることなどの実態を明らかにした。 一方、大規模タウンセンターないしシティセンターの再生は、タウンセンターマネージメントの導入とタウンセンター再生プランの策定・実施を柱として、全国的に広く実施されてきているが、具体的な事例調査から、個々の地域によって、その再生事業の内容と成果は大きく相違している。また、タウンセンター・シティセンターの動向は、近年の事業展開もさることながら、従来からの当該地域での小売商業政策・小売商業開発の蓄積が大きく規定していることも明らかとなった。
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