研究概要 |
15年度は石灰岩の内部構造にポイントカウンティングの結果から得られた6'つの岩型(サンゴとサンゴモが卓越する石灰岩[タイプI],サンゴモが卓越する石灰岩[タイプII],サンゴモとカンザシゴカイとフジツボが卓越する石灰岩[タイプIII],サンゴモとカンザシゴカイが卓越する石灰岩[タイプIV],被覆性コケムシと被覆性底生有孔虫が卓越する石灰岩[タイプV],軟体動物が卓越する石灰岩[タイプVI])を適用し,相対的海水準変動を復元する作業を行った.その結果,コアを形成する石灰岩の中にはタイプ1とタイプIIを交互に繰り返すもの,またタイプIIとタイプIIIまたはタイプIVを交互に繰り返すものなどがあることがわかった.これらの成果は国内の学会や国際学会で発表した.しかし,本研究の最終目標である,岩型を総合的に解析し14C年代値と比較することによって室戸岬の相対的古水深変動を切れ目なく復元するまでには至らなかった.その最大の理由は現生種の分析がフィールドの条件が悪く不十分であったことによる.室戸半島では危険性が高くできなかった現生種調査を,同じ外帯の紀伊半島で行えば,現生種帯状構造のスタンダードを近似的に求めることができると考え,紀伊半島でフィールド選定調査を行った.その結果,潮岬から東側海岸において数地点の潜水調査可能場所を発見し,予備調査として潮間帯〜潮下帯に生息する生物の分布調査を行い,カンザシゴカイ,サンゴモ,サンゴなどが帯状構造をなして生息していることを確認した.
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