研究概要 |
1)地表調査とボーリング調査により,阿蘇中央火口丘群のテフラ,ACCTの層序を明かにし,その爆発的噴火史解明を予察的ながら試みた.テフラから推定される阿蘇中央火口丘の過去8万年間の爆発的噴火史は次のようである.Aso-4火砕流噴火の直後,8万年前から,阿蘇中央火口丘は活動を始めた.最初期の高森ステージは,現在地下に埋没している山体が活動した時期で,初めプリニー式噴火・サブプリニー式噴火を繰り返し,後半にはブルカノ式・灰噴火へ変化した.次の桜町ステージは,大規模で間欠的なマグマ水蒸気噴火で特徴つけられる.荻ステージでは,現在陸上に露出する山体のうち2万5千年より古い山体のかなりの部分が活動した時期で,爆発的な噴火としてプリニー式噴火を伴うサイクルが4回起きた.2万5千年〜1万5千年前の波野ステージは,初期の中岳などの活動によるサブプリニー式噴火とマグマ水蒸気噴火の間欠的活動で特徴づけられる.1万5千年前以降から現在の一の宮ステージは,もっとも穏やかな活動時期で,中岳を中心に小規模な灰噴火やストロンボリー式噴火,サブプリニー式噴火を繰り返し行っている. 2)地質調査により,五島列島福江島の鬼岳火山群の噴火史を予察的に考察した.鬼岳火山群は,少なくとも6つの単成火山群からなる.そのうち最新の噴火は2万年前に起き,大量の溶岩流と降下スコリアを噴出し,鬼岳スコリア丘を形成した.
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