研究概要 |
今年度は,阿蘇火山と九重火山の8万年前以降のテフラ層序を確立するための地質調査を行った.主に野外における露頭観察とボーリング調査である.阿蘇火山のテフラは,東側の外輪山で全層厚が80mを越える.降下火山灰は100枚以上,50枚以上の降下スコリア,30枚以上の降下軽石が確認された.これらのテフラの間にはあまり大きな時間間隙はないことから,8万年前から現在まで阿蘇中央火口丘はきわめて活動的であったことがわかった.しかし,まず降下軽石→降下スコリア,降下火山灰へと変化する噴火様式がみられる.そのようなサイクルが20以上ある.1万年前以降は降下スコリアと降下火山灰を繰り返す噴火で,それ以前とは様相が異なっている.また,2万5線年前後には,やや大きな休止時期がある.九重火山は,従来約5万年前に活動が始まったとされているが,それ以前の降下軽石や火山灰は何枚も見つかり,九重火山の起源については検討を要すると考えられる.
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