研究概要 |
今年度は阿蘇火山中央火口丘と九重火山のテフラの調査を行い,ほぼ終了した. 阿蘇火山では,100箇所以上の露頭で柱状図を作成し,25枚以上のテフラについて分布図を作成することができた.これにより過去8万年間の中央火口丘の爆発的火山活動の全貌を知ることができるようになった.すなわち,プリニー・サブプリニー式噴火を繰り返すの第1ステージ,大規模なマグマ水蒸気噴火の第2ステージ,再びプリニー・サブプリニー式噴火を繰り返す第3ステージ,スコリア中心のサブプリニー式噴火の第4ステージ,火山灰主体のブルカノまたは灰噴火中心の第5ステージと噴火タイプが変化した.現在は中岳火山による第5ステージであるが,過去8万年間で最も穏やかな時期にあたっている. 九重火山では,50箇所以上の露頭で柱状図を作成したが,分布図はまだ作成されていない.しかし,いくつかの新しい知見が得られている.過去5万年間の九重火山の活動について,これまで溶岩ドームの形成や溶岩流の流出が主な活動とされてきたが,プリニー式噴火や火砕流噴火がかなり発生していることがわかった.今後もこうした危険な噴火活動が予測される.これは防災上十分考慮されなくてはならないことである. これで過去4年間で,姶良火山,壱岐火山,福江火山,雲仙火山,阿蘇火山,九重火山と6つの九州の代表的な火山のテフラを調査し,これらの爆発的火山活動に関する基礎データを収集したことになる.
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