研究概要 |
日南海岸・青島の弥生橋橋脚の側面を覆う砂岩塊の表面に発達するタフォニ様の窪みは,塩類風化による砂岩塊表面の強度劣化を介在した侵食によって形成されている。窪みの深さは橋脚相互に変異しており,第1橋脚から第4橋脚に向かって大きくなっている。これは,塩類風化による砂岩塊表面の強度劣化が橋脚の位置によって異なることが主因である。塩類風化には海水の供給量が重要であるので、窪み深さの橋脚による変異の要因として、海水・飛沫の供給量が橋脚によって異なっている可能性が考えられる。そこで、橋脚砂岩塊に供給される海水・飛沫の供給量が橋脚相互でどのように異なっているかを計測することを試みた。計測には新規に作成した計測システムを用いたが、使用したセンサーの水切れ性能に欠陥があることが判明したため、その改善を検討した。使用中のセンサーは、直径5mm、長さ80mmの電極3本(+極1本)を10mm間隔で△状に取り付けたものを用いているが、新たに6種のセンサーを作成して水切れ実験を行い、水切れ性能を比較した。その結果、現用のセンサーに比べ、電極数が少ない(2本)ほうが良い性能を示し、電極間隔は離れている(15mm,20mm)ほうが良いという結果を得た。したがって、次年度からは新しいセンサーを作成して計測する。 今年は弥生橋竣工後50年目にあたるので、全橋脚の全砂岩塊についてその窪み深さを再計測することとした。しかし、一部の砂岩塊が砂に埋没していたため全砂岩塊についての計測ができず、砂岩塊侵蝕速度の経年変化の追試は次年度に持ち越すこととなった。
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