研究概要 |
日南海岸・青島の弥生橋橋脚の側面を覆う砂岩塊の表面に発達するタフォニ様の窪みは,塩類風化による砂岩塊表面の強度劣化を介在した侵蝕によって形成されている。窪みの深さは橋脚相互に変異しており,第1橋脚から第4橋脚に向かって大きくなっている。これは,塩類風化による砂岩塊表面の強度劣化が橋脚の位置によって異なることが主因である。塩類風化には海水の供給量が重要であるので、窪み深さの橋脚による変異の要因として、海水・飛沫の供給量が橋脚によって異なっている可能性が考えられる。そこで、橋脚砂岩塊に供給される海水・飛沫の供給量が橋脚相互でどのように異なっているかを計測することを継続している。今年度の計測には、昨年度の実験結果にもとづき、電極2本(電極間隔20mm)の新センサーを用いた。その結果、南北8側面の同時データを3日間(潮汐6回分)にわたる連続データとして得ることができた。また、第2橋脚について、その東西南北の4側面の計測を目的としたセンサーの架設方法を検討し、橋桁の下方にあたる西面にセンサーを取り付け、北・西・南の3側面の計測を試みた結果、2日間(潮汐3回分)の連続データを得た。計測結果と窪み形成との関連性の検討は今後の課題であるが、得られたデータの南北の差異・橋脚相互の差異・西面の特徴などは複数回データでのパラツキが少なく相互に類似している。そのため、次年度では、潮高・波高の異なる条件下での計測を実施して、今回と同様の傾向が認められるのかどうかの確認を目指したい。
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