研究課題
基盤研究(C)
横ずれ断層を横切る河川の変形と反応を明らかにするために、米国カリフォルニア州サン・アンドレアス断層を横切る屈曲河川、および日本国内各地の断層による屈曲河川の平面形・縦断形の実地計測を行った。計測には新たに開発した縦断勾配と平面形の測定ができる測量機器を用いた。サン・アンドレアス断層を横切る比較的新しいガリーは、変位量と上流域面積の間に明らかな相関を見せた。この相関はストリームパワーが大きいほどガリーを長く保つことができることを反映しており、ガリーの変位は1857年の大地震を含めて過去3回の地震にともなう断層変位で説明することが可能であった。古い屈曲河川は新しいガリーと異なって谷中にあることで大きな変位が保存されたと考えられ、屈曲修正角が変位とともに大きくなる傾向を示した。断層幅の変化は少ないとすると、屈曲修正角は変位量とともに減少するが、屈曲修正角のコタンジェント関数で表される変位量が大きくなると、屈曲修正角を減少させるための変位の増加量は飛躍的に増大する。長期間変位を保存することができた古い屈曲河川では、変位の増加にともなう屈曲修正角の減少が目立たずに屈曲部流路の移動による屈曲修正角の増大が現れるようになったのだろう。日本の屈曲河川については以上の関係がどれも見られないが、変位量の大きな屈曲河川で変位量と屈曲修正角の間に明らかな負の相関が見られた。日本の場合は、断層の幅が広いため変位量増大にともなう屈曲修正角の減少が大きいことと、側方侵食が起こりにくい地質条件のために屈曲部上流部の断層破砕帯に側方侵食が集中して屈曲修正角を小さくするのではないかと考えられる。断層による変位に対して屈曲修正角を増大させる反応が見られるのは断層の幅が狭くかつ大きな変位を長期間保存できる場合のみであり、河川は断層による変位に対して流路変更か河川争奪が起こるまでは変形を受けると考えてよい。
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