本研究は温暖化に伴う陸水域の変化基準を示すため、国内における湖沼・河川・地下水水温の実態を把握することを目的として、主として過去の埋もれたデータの整理を行ったものである。湖沼に関しては昨年度までに主な資料の収集が終わっているので、平成15年度には河川水温を中心に作業を行った。また、地下水温に関しては他大学の協力を得て資料を整備した。これらに基づいて、全体にわたりデータの整理を行い、成果報告書を取りまとめた。また、本研究の成果を含み陸水の熱環境と水収支に関する従来の研究成果を総括し、「地域分析のための熱・水収支水文学」として刊行した。 本研究はデータ整理が主であったが、陸水域の温暖化に関して若干の傾向を指摘することができた。まず湖沼に関しては、1985年以降冬の気温上昇に伴い、全体的に水温上昇の傾向が現れている。冬季における全循環の欠落も発生しているが、これは従来とも見られた変動でもある。しかし1990年代以降に関しては、温暖化の影響が否定できない。河川に関しては資料が断片的であり、現時点ではデータをもとに議論をすることは困難である。ただし、各種の方法で変化を予測することは可能であり、それらの方法に関して取りまとを行った。地下水にも温暖化の影響が及んでいるが、本研究では資料整備に止めた。以上、若干の解析・考察を含み、本研究では20世紀後半における国内の水温資料の整理を行い、データを吟味し報告書を作成した。
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