研究概要 |
1.障害児の衣生活に関する実態調査 (1)養護学校に勤務する教員を対象とした質問紙調査:福島市内にある養護学校に勤務する教員を対象に,自分が担任している児童生徒ひとり一人についての学校での衣服の着脱等の状況について調査を行った。(調査時期:2001年7月,調査方法:留置法,回収数:58名)主な結果として,障害の種類によって衣服の着脱を行う上での問題点が異なることがわかった。知的障害児は衣服の前後・表裏の区別,着替えるという意識を持たせることが困難であるが,肢体不自由では全面的な介助が必要とされていることがわかった。(2)障害のある児童生徒の保護者を対象にした質問紙調査:上記と同様の児童生徒の保護者を対象に,家庭の中での衣服の着脱等の状況について調査を行った。(調査 時期:2001年7月,調査方法:留置法,回収数:43名)全体的には,教員を対象とした調査の結果と類似した傾向が捉えられた。しかし両調査をつき合わせてみると,同じ子どもについての回答でありながら,主な障害と付随する障害の捉え方や衣服の着脱の介助の程度の認識が異なっている場合もあることが明らかになった。 2.衣服着脱動作解析のための予備実験 三次元動作解析装置による衣服の着脱動作の解析のための実験条件の整備を行った。今後,肢体不自由児を対象にして行う予定であるが,衣服の着脱動作は複雑な動作であるためまず健常な成人女子2名を被験者として日常着用する衣服(Tシャツ,セーター,ジャケット)を試料として,着脱動作の観察および撮影を行った。着脱のしやすさは,重ね着された衣服の摩擦による影響が大きいことが推察できた。
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