本研究では高齢者の生きがい創設、共働きや単親家庭への育児援助への方策として祖父母と孫の関係性に着目し、多世代の積極的共存・多世代間の自立と連帯を前提とした「世代間交流」の可能性を探るのが目的である。今年度は調査実施に向けて先行研究の知見整理および調査項目の検討、分析枠組の構築、さらには調査票の作成、調査対象者の選定をおこなった。 具体的には、第一に祖父母である高齢者の立場から孫の存在意義を問い直したいと考え、現代の祖父母たちの意識を祖父母-親-孫との三者関係のなかでどのように理解しているのかを明らかにするために、祖父母がいだく「孫イメージ」を把握することを通して、祖父母の生きがいや主観的幸福感との関連をみていくこととする。第二に孫である子どもの立場から祖父母の存在意義を問い直したいと考え、現代の孫たちの意識を祖父母-親-孫との三者関係のなかで老いや高齢者をどのように理解しているのかを明らかにするために、孫たちがいだく「祖父母イメージ」「高齢者イメージ」を把握することを通して、孫の生活満足感や生活意欲との関連をみていくこととする。奈良県下の小学生、中学生、高校生、大学生とその祖父母たちを調査対象とするアンケート調査を実施予定。 孫と祖父母をペア単位でデータ採集をする試みと、祖父母-親-孫という三者関係で両者の関係性を理解するという点、さらには時系列的変化をとらえる試みとして関係性の変化と連続性に着目した点に、先行研究にはない独創性があると考える。 具体的な調査項目は、孫票においては祖父母イメージ・高齢者イメージ、祖父母との交流、さらには孫の認知する親と祖父母との親近性・祖父母と孫との親近性・親と孫との親近性などを問う予定。また、祖父母票においては孫イメージ、孫との交流、さらには主観的幸福感、祖父母の認知する親と祖父母との親近性・祖父母と孫との親近性・親と孫との親近性などを問う予定。
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