本年度は、変化要素として、壁面の色、床面の色、ソファの色を取り上げ、高齢者と若齢者の評価構造の違いを探ることを目的とし、評価グリッド法による実験を行った。まず、昨年度までに使用した色を基本とし、ソファの色8色(高彩度色を追加)、床の色4色、壁の色6色を取り上げ、その組み合わせ192対象の画像を用意し、好悪感について5段階に分けてもらう予備実験を行った。その結果から、本実験に使用する画像(33対象)を選択し、照明条件を統一した実験室内で評価グリッド法による実験を行った。被験者は高齢者20名および若齢者20名である。また、補足実験として、壁面と床面の配色を中心にした実験を行った。 3色配色について好きな配色を高齢者と若齢者で比較してみると、高齢者は全体に明るい色が使用されている空間を好み、若齢者は、室全体の雰囲気やバランス重視し、床面の明度が低く、壁面と床面が暖色の対象が好まれている。また、黒いソファのある空間は高齢者には好まれないのに対し、若齢者には比較的好まれている。また、好みには男女差がみられ、高齢者の女性に赤(7.5R4/14)のソファのある空間が好まれている。 高齢者が、好ましいと判断する基準は、「配色が良い」「明るい」「落ち着く」「バランスがよい」「暖かい」などである。若齢者も基準としているイメージは大きくは変わらない。しかし、実際には、好まれる配色に違いがみられ、空間に望まれるイメージが同じであっても、そのイメージを得るための具体的な配色には、高齢者と若齢者で違いがみられることが明らかとなった。
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