本研究では、老後も住み慣れた地域に住み続けることができるような地域づくりの取組が実施されている地域を探し出し、現地調査や資料調査を実施した。その結果、わかったことは、次のとおりである。 (1)岩手県藤沢町・秋田県鷹巣町・春日学区(京都市上京区)では、上記の下線部のような地域づくりが様々な課題について多面的に実施されており、大きな成果が生まれている。また、それらの地域づくりは、住民の手によって積極的・自主的に実施されており、それぞれの地域特性を活かした個性的あふれる地域づくりが実施されている。 (2)行政が住民による地域づくりを支援しているかどうかという点では、藤沢町・鷹巣町では全面的に支援するようなシステムが構築され実施されており、上記の下線部のような地域づくりは、著しく活性化し発展を続けている。 (3)ソフトの地域づくりとハードの地域づくりがどちらも進んでいるかどうかという点では、藤沢町・鷹巣町ではどちらも進んでおり、両者は互いに相乗作用し、大きな成果をあげている。春日学区では、ハードの地域づくりは少ないが、ソフトの地域づくりは活性化している。 (4)上記以外にも、介護が必要になっても住み慣れた地域で住み続けることができるような地域づくりの事例、高齢者のエネルギーに基づく地域づくりの事例、高齢者の社会参加が促進されるような地域づくりの事例、高齢者のニーズが反映されるような地域づくりの事例、バリアフリーのための地域づくりの事例、などが全国各地に散在している。
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