研究概要 |
循環型経済社会の構築に寄与するための方策の一つとして、布団の洗浄を行い3R(Reuse, Reduce and Recylce)に貢献することが考えられる。一方では、清潔な就寝環境を得るために布団を洗いたいとの要求には根強いものがある。本年度は、廃棄システム構築へ向けて、布団を家庭用洗濯機で洗浄する際の乾燥特性を明らかにすることに主眼をおいた。 実験は、クッション・サイズの実験用布団を試作して行なった。中ワタ(1)ウォッシャブルポリエステル100%(2)ウォッシャブルウール100%(3)通常ウール50%・通常ポリエステル50%(4)通常ポリエステル100%(5)コットン100%を用いた。洗濯は、市販7kg用洗濯機を用いて、洗剤を加えて通常の洗濯プロセスにより自動運転した。乾燥過程の測定は、実験室内で行い電子天秤を用いて重量を測定し、その減少量を以って洗濯後の水分乾燥量とみなした。 実験の結果、最も乾燥速度の良好なものはコットン100%であった。それに次ぐものがウォッシャブルポリエステル100%であった。さらには、ウォッシャブルウール100%、通常ウール50%・通常ポリエステル50%、通常ポリエステル100%の3種が同程度の乾燥性能でそれらよりは劣ることが判明した。 コットンの水への親和性の高いことは周知のことであるが、本研究ではウォッシャブルポリエステルより乾燥性能が良いことが認められた。これは塊としての繊維の乾燥では、一枚ものの衣類での場合と異なり、表面での蒸発ではなく奥部からの表面への水分移動が律速段階となるとためと考えられる。すなわち、コットンでは繊維内部を通しての水分移動が可能であるため、繊維間隙のみでの移動によるポリエステルに比較し乾燥特性に優位性が見られるものと言える。また、ウールにおいては、濡れ率の低くなってからの乾燥速度が遅いことが判明した。コルテックスに残留した水分の移動が遅いことが伺えた。
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