中年期から高齢期への移行とともに友人ネットワークがどのように変化するのか、そしてその変化はどのような要因によってもたらされているのかを検討した。 中年期と高齢期の友人ネットワークの差異をもたらす要因について、先行研究を検討し、検討結果にもとづき、分析枠組みと仮説を設定した。 仮説を検証するために、「男性は逆U字型就労、女性はM字型就労」というライフコース・パターンを共有する世代である1931年から1960年の出生コーホートを対象として質問紙調査を行い、そのデータをもとに、友人関係および友人トライアドの構造と機能、友人トライアド構造と機能の関係、そしてエイジングによる友人関係機能の変化についての統計的分析を行い、それぞれに対して性別はどのような影響を及ぼしているかを検討した。 得られた知見は以下のようである。 (1)友人関係および友人トライアドの構造と機能には性差がある。これらの性差は、社会化の違いにもとづく性向的要因と、ライフコースの違いにもとづく構造的要因とによって説明される。 (2)友人トライアド構造が情緒的サポートに及ぼす効果には性差があり、女性の場合には、トライアド連結度が情緒的サポートを促進する効果があらわれたが、男性にはそのような効果はなかった。 (3)エイジングが友人関係機能に及ぼす効果にも性差があり、男性はエイジングとともに機能を付け加えていくが、女性は機能を縮小していく。このような変化を媒介する要因は、男性では交際期間の長さ、女性では家族・職業役割からの解放によるニーズの低下であった。(2)と(3)における性差は、男女の友人関係に対する意味づけの違いによって説明された。
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