1.病気や健康へ及ぼす食品の「効能・効果」を頻繁に取りあげる、いわゆる健康雑誌の新聞広告紙上の表現を調査し、その問題点について考察した。発売歴の長い健康雑誌3誌について1986年から2000年までを調査対象とした。新聞広告上で健康への影響に言及している食品等を抽出し、表現について分析した。15年間分の広告に出現した各種食品の効能・効果表現で最も多かったのは「やせる」に関することであり(621件)、血圧(478件)、糖尿病関連(393件)、ガン関連(235件)と続いた。いわゆる健康雑誌の新聞広告には、中高年者が抱える健康への不安や課題を、ある食品の摂取によって安易に解決できるかのような「効能・効果」表現が非常に多く用いられ、扇動的な表現も頻用されており問題の多いことが明らかとなった。 2.健康に関連する食の情報を興味本位に取りあげるテレビ番組を「健康情報娯楽番組」と命名し、人気が高く放送量の多いある番組の半年分をビデオ録画し、その内容について分析した。調査対象期間中の放送129回のうち、76回(58.9%)は食品の保健効果等がテーマとされ、この番組が大量の食情報を発していることが確認された。情報の質は妥当なものから誤りまで幅広く、食生活を誤誘導させかねない情報の提供も少なからず認められた。また、内容的に矛盾する情報が日替わりで登場することも多々あった。 3.テレビ等の健康情報娯楽番組が食生活に影響しているか否かについて一般消費者を対象にアンケート調査した。食品購入や摂取にそれらの情報が少なからぬ影響を与えていることが推察された。
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