研究概要 |
本研究の目的は、近年その流通・消費が増大しているカット野菜、特にカットレタスの主たる品質劣化要因である褐変の機構を解明し、新たな制御法を提供することである。カット野菜の褐変は、野菜中のポリフェノール類がポリフェノールオキシダーゼの作用により酸化することで生じるが、野菜中のポリフェノール量はリンゴ果実などに比べると著しく低く、リンゴの褐変などとはメカニズムが異なる。すなわち、ポリフェノールの生合成系が品質劣化や褐変に重要な役割をはたしていると考えられる。ここでは、レタスの生合成系をターゲットとして、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性と褐変との関係を明らかにする。本年度は、カット前の貯蔵と褐変の関係、PALの組織部位と褐変の関係、PALの精製について検討した。その結果、レタス個体によるバラツキが大きかったが、カット前の貯蔵日数が増すと、カットしたとき褐変しやすく、カット後2,3日目のPAL活性が高い傾向が認められた。レタスの部位別で見ると真ん中の部分がPAL活性が高く、また褐変しやすかった。イオン交換樹脂、ゲルろ過クロマトグラフィーによりレタスPALの精製を試みたが、分子量20万で、分子量5万のサブユニットの4量体と推定された。
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