本研究の目的は、近年その流通・消費が増大しているカット野菜、特にカットレタスの主たる品質劣化要因である褐変の機構を解明し、新たな制御法を提供することである。我々はすでにカットレタスの褐変にはカットによるポリフェノールの生合成の誘導、特にフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性の誘導が重要であることを示している。本年度は、ポリフェノールの生合成系をターゲットとして、ヒートショック処理によるPAL活性誘導の抑制と褐変抑制の関係を調べるとともに、ヒートショック処理レタスの貯蔵中の品質変化を調べた。その結果、50℃、90秒という穏和なヒートショック処理でPALの誘導も貯蔵褐変も顕著に抑制された。貯蔵中のビタミンCレベルを調べたところ、非処理サンプルと有意差は生じなかった。また、官能評価においても、ヒートショック処理したカットレタスはコントロールのカットレタスよりも有意に優れていた。このように穏和な熱処理はカットレタスの品質保持に有効であることが明らかとなった。
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