研究課題/領域番号 |
13680146
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
早瀬 和利 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10144180)
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研究分担者 |
横越 英彦 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70109320)
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キーワード | estrogen / dietary protein / ovariectomy / protein synthesis / brain / rats |
研究概要 |
我々は、離乳直後及び成熟期の雄ラットを用い、脳タンパク質合成速度がタンパク質栄養に依存していることを証明している。しかし、壮年期以降の女性においては、加齢・栄養だけでなく、女性ホルモン不足が、脳の機能調節に影響している可能性があり、女性ホルモンやタンパク質栄養が、脳の機能にどう影響するか示すことは、「脳機能と栄養」について全体像を理解する上で、大変意義がある。 そこで、本研究では、卵巣摘出による閉経モデルラットを用いて、脳機能に及ぼす女性ホルモンと食餌タンパク質の質的影響について、脳の各部位(大脳、小脳、海馬、脳幹)のタンパク質合成速度を決定した。 脳タンパク質合成速度は、卵巣摘出雌ラットにおいて低下し、エストロゲン投与により増加することを示した。20%カゼイン食、20%大豆タンパク質食、20%グルテン食、20%ゼラチン食の4群で行った食餌タンパク質の質的影響に関しては、卵巣摘出ラットにおいても、カゼイン、グルテン、ゼラチンの順で栄養価の低下に伴い脳タンパク質合成速度が低下していた。大豆タンパク質はカゼインと同等の結果が得られた。 脳の各部位のRNA濃度は、女性ホルモンやタンパク質栄養の影響を受けず、単位RNA当りのタンパク質合成能力を示すRNA activity と脳タンパク質合成速度の間に正の相関を認めた。 以上の結果から、卵巣摘出雌ラットにおいて、脳タンパク質合成速度が女性ホルモンや食餌タンパク質の質的影響を受け、女性ホルモンにより増加し、低栄養価タンパク質食摂取により低下すること、本条件での脳タンパク質合成速度は、RNA activity に依存していることが明らかになった。本研究結果は、壮年期以降の女性の脳機能を維持する上で、女性ホルモンとタンパク質栄養が重要であることを推察された。
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