研究概要 |
初年度はD-グルコースに各種アミノ酸を加え、pH7.4のリン酸緩衝液中、37℃で反応させたところ、反応液は次第に褐変し、蛍光強度が増加した。各反応系にクレアチニンを添加したところ、1〜2ヶ月後にS.typhimurium TA98、+S9mixで強い変異原性を示す物質の存在を確認した。また、Fe^<2+>、Fe^<2+>の添加により反応が著しく上昇した。 グルコース-グリシン-クレアチニンの反応液より2-amino-3,4-dimethylaminoimidazo[4,5-f]quinoxaline(MeIQx)を、またグルコース-フェニルアラニン-クレアチニンの反応液より2-1-amino-methy1-6-phenylimidazo[4,5,6]pyridine(PhIP)を分離した。両化合物はいずれも魚類や獣肉の焼け焦げ変異のがん原物質であるが、37℃、pH7.4という生理的条件下で生成することを初めて明らかにした。 さらにアミノ酸としてL-プロリン、L-スレオニン、β-アラニン、L-メチオニンを用いた反応液も強い変異原性を示したことから、活性酸素(02-、・OH、NO、ONOO-)の存在下、非存在下での変異原の検索を行っている。このことは極めて緩和な反応条件下でも変異原が生成することを意味しており、生体内とともに環境中でこれら変異原が容易に生成する可能性が示唆された。 現在、各種茶葉抽出物を用いて変異原生成に対する抑制効果についても検討しており、その成果を期待している。
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