研究概要 |
本研究は還元糖とアミノ酸をクレアチニンとともに0.2Mリン酸緩衝溶液(pH7.4)に1:2:2のモル比で溶解し、主として37℃の生理的条件下で反応させ、生成する変異原物質をブルーコットンに吸着後、2%アンモニア-メタノール混液で溶出し、Ames試験を行った。変異原性陽性画分についてLC-MS分析を行い、化学構造を解析した。また、それら変異原の生成に対する酸素や金属イオン、植物成分の影響とともに、動物体内での生成の可能性について検討した。 (1)グルコース、フェールアラニン、クレアチニンまたはグルコース、グリシン、クレアチニンからなる混合液を生理的条件下(pH7.4、37℃)で静置したところ、前者より2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine (PhIP)を、後者より2-amino-3,8-dimethylimidazo[4,5-f] guinoxaline (MeIQx)を変異原性物質として同定した。両変異・発がん物質は加熱ハンバーグや焼魚から分離されているが、生理的条件下でその生成を初めて明らかにした。 (2)グルコース、グリシン、クレアチニンの反応液の変異原性は鉄イオンの添加により上昇し、溶存酸素濃度とは逆相関を示した。茶カテキンの添加により変異原性は低下した。3成分をマウスに投与し^<32>P-ポストラベル法で検討したが、2週間ではDNA付加体を検出することはできなかった。 (3)グルコース、クレアチニンの混合物に、メチオニン、プロリン、トレオニンをそれぞれ添加して生理的条件下で反応させた場合、グリシンやフェニルアラニンを用いた場合と比較して強い変異原の生成を認めた。化学構造を解析中である。
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