研究課題/領域番号 |
13680156
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
沖田 美佐子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70079242)
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研究分担者 |
鈴木 和彦 くらしき作陽大学, 食文化学部, 教授 (50035490)
太田 泰子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (90326413)
笹川 貴代 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (10254567)
山田 剛太郎 川崎医科大学, 附属川崎病院・肝臓・消化器病センター, センター長
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キーワード | C型慢性肝炎 / 肝硬変 / ビタミンE / リンパ球 / 赤血球 / リン脂質 / アラキトン酸 / チオレドキシン |
研究概要 |
1、C型肝硬変における単核球リン脂質のアラキドン酸比率と栄養病態 肝硬変でみられる血漿リン脂質の多価不飽和脂肪酸とくにアラキドン酸組成の異常が肝病態に及ぼす意義を明らかにするために、肝硬変例と肝癌合併肝硬変例についてリンパ球・単球リン脂質の脂肪酸組成を分析し、血漿α-トコフェロールと過酸化脂質及び血清TNF-α濃度を測定した。肝癌合併の有無にかかわらずリンパ球・単球リン脂質の飽和脂肪酸の増加と多価不飽和脂肪酸とくにアラキドン酸の著しい減少を認めた。また、肝癌合併例で血漿α-トコフェロールの有意の低下と、TBARの有意の高値を認めた。これらの結果は抗酸化能の低下によるアラキドン酸の酸化亢進を示唆するものである。また、リンパ球・単球のアラキトン酸レベルはリンパ球数、血小板数と有意の正相関を有し、抗酸化ビタミンなどによるアラキドン酸の酸化抑制が肝硬変にみられる血球や血小板の減少の抑制に作用するのではないかと推論できた。 2、C型慢性肝炎・肝硬変例へのビタミンE投与効果 肝病態の進展に酸化ストレスの影響が大きいとされるC型慢性肝炎と肝硬変例を対象に、ビタミンE大量投与を行い血清ALT値と、酸化ストレス指標であるチオレドキシンや、赤血球膜リン脂質アラキドン酸組成に及ぼす効果を検討した。ビタミンEの大量投与によりALT高値症例のALT値は改善し、また全症例で血清チオレドキシン値は投与前値に比し有意に低下した。 赤血球膜リン脂質アラキドン酸組成は、ビタミンE投与前に正常対象レベルより低値であった症例では明らかに上昇し正常レベルに復した。また、アラキドン酸組成が正常化した症例ではALT値にも有意の改善が認められた。これらの結果から、アラキドン酸の酸化亢進が肝障害と関連し、ビタミンEの投与は肝炎症を抑制すると推論した。
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