研究概要 |
食物の状態は大きく分けてゾル状態とゲル状態である。また、ゾル中にゲルが分散した状態のものもある。本年度は食塊を想定して、ゾル中にゲルが分散している、ゾル-ゲル混合系の食物について、その飲み込み特性の検討を行った。モデル系のゾル-ゲル混合試料を調製するために、ゾル状態とゲル状態を調製することが可能な低強度寒天(伊那食品工業製)をゲル化剤として用いた。ゲル試料の調製は、寒天ゾル溶液をサラダ油中に滴下させ、4〜5mmの寒天球状ゲルを調製した。ゾル試料は、ゲル状に調製した試料を攪拌して粘稠ゾル状とした。ゾル中にゲルを分散させたゾル-ゲル混合系モデルを調整し、補助金により購入した機器を用いて測定した流動特性を含むレオロジー的性質および飲み込み特性に関する官能評価を行った。寒天濃度(1.3,1.5,2.0w/v%)の異なる球状ゲルについて、破断特性およびテクスチャー特性を算出した。球状ゲルの破断特性およびテクスチャー特性の硬さは寒天濃度の増加に伴いいずれも増加した。また、寒天濃度(0.2,0.4,0.6,1.0w/v%)の異なるゾル状試料も寒天濃度の増加に伴い、テクスチャー特性の硬さおよび付着エネルギーは増加し、降伏応力も増加した。ゾル-ゲル混合系試料は、1.5w/v%寒天濃度の球状ゲルを用い、4種の寒天濃度(0.2,0.4,0.6,1.0w/v%)のゾル状試料と等量(重量比として)混合し、調整した。ゾル中に球状ゲルが混合すると、ゾル-ゲル混合系試料のテクスチャー特性の硬さはゾルの寒天濃度の増加(0.6w/v%)に伴い減少するが、1.0w/v%ゾルを用いた場合には再び増加し0.2w/v%とほぼ等しい値となった。しかし、付着エネルギーはゾル試料の寒天濃度の増加に伴い増加した。飲み込み特性の評価を官能検査の手法を用いて行ったところ、ゾルの寒天濃度が低濃度においてはゾル試料の方が飲み込み易いと評価されたが、1.0w/v%では逆に混合系試料の方が飲み込み易いと評価さた。
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