研究概要 |
本研究は昨年に引き続き、誘電冷凍法が食品の冷凍・解凍後の品質に及ぼす影響を評価した。誘電冷凍装置は、(株)アビー製で冷凍庫内-45℃)に静磁場と動磁場を重畳させて振動磁場を食品に作用させるもので、周波数5〜40Hz、磁束密度0.6〜1.2mTを使用し、同規格で誘電装置のない急速冷凍庫-45℃)での冷凍と比較検討した. 実験材料としては、昨年同様に処理した鶏胸肉(徳島産ブロイラー)と五寸ニンジン(徳島産)を使用したほか、直径1.5cm高さ1.2cmの円盤状に切り出して脱気包装後65℃10分の前処理をしたカボチャ(北海道産、ニュージーランド産)と、先端から21cm長さで切断したものを65℃2分間前処理したアスパラガス(国産)を使用した。冷凍は誘電冷凍、急速冷凍いずれも試料片の中心部が40℃になって5分経過後まで行い、一定条件で解凍し、破断強度解析(山電,RE-33005)、樹脂包埋切片の顕微鏡観察及び画像解析、大学4年生による官能検査(鶏肉は蒸し加熱後)を行った。 冷却速度は周波数の大なものほど遅れた.鶏肉は冷凍一週間後では冷凍方法の差が認められなかったが、静磁場が働いた保管庫で6.5ケ月貯蔵した後では、30Hzで誘電冷凍の方が破断応力値が低く、光学・透過電子顕微鏡観察の結果でも凍結変性による筋繊維内の空隙の生成が抑制されて磁場の効果が認められた。カボチャは果肉の比重によって冷凍損傷に相違が見られ、比重が1.078では30Hzで好結果であったが、比重1.027では20Hzでも損傷が対照より大であった。ニンジン皮層部柔組織では細胞間隙が生じ、細胞破壊はほとんど認められなかった.一方、アスパラガスの散在維管束間柔組織では細胞破壊が著しく、また下部厚角組織は破壊されなかった。両者の場合20Hzの処理で凍結前により近い値を示した。大学生による官能検査では、判定不能であった。
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