研究概要 |
1.竹炭浸漬液を粥炊飯(全粥)に利用する効果 今年度は米飯の条件が粥の性状に与える影響を確認するため,米への加水量を米の重量の1.3倍,1.5倍,1.7倍,加熱時間を10分,20分,30分,保存条件を冷蔵1日,冷蔵2日,冷凍のそれぞれ3段階とし,調整直後の粥米飯との性状比較を行った.保存条件については10分加熱の米飯粥についてのみ実験を行った. 保存方法と加水量の異なる米飯から調整した粥では,テクスチャー測定,破断強度測定結果から加水量の多い米飯から調整した粥の方が軟らかくなった.保存方法による差には一定の傾向が見られないことから,保存方法より米への加水量の方が粥の性状に与える影響が大きいことが分かった.昨年度の研究で竹炭水の使用が粥飯の軟化を促進することを証明しており,加水量の多い米飯を竹炭水で加熱することにより軟らかい粥飯を調整することができると考えた. 2.竹炭添加フライ油の酸化防止および有害アルデヒド(アクロレイン)生成抑制とその機構 炭化温度の異なる竹炭をサラダ油に5%(w/v)添加し,180℃に加熱し,油の劣化化度をAn.Vで測定した.6h加熱すると無添加、500℃の非通電炭、1000℃の通電炭では劣化が進んでいたが,700,800,900℃の通電炭では著しい酸化防止効果が認められた.800℃炭の炭内部の表面積(比表面積)は1000℃炭の約400倍であった.竹の炭化過程で微細孔が形成されるが,1000℃炭になると微細孔の収縮,表面積の極端な減少で油の酸化防止能を示す構造が激減したためと思われた. フライ油に竹炭を5%添加し、6h加熱後の竹炭内の油を酢酸エチルで抽出し、その劣化度を調べた結果、無添加油、添加油に比べて、竹炭内の値が1/2.6と低く、著しく劣化が抑制されていた。さらに、アクロレイン生成量の測定でも無添加油に比べて、約5程度に生成が抑制されていた。これらの結果から、炭化過程でできた孔に低分子化した有害なアルケナール類や最も毒性の強いアクロレインなどが物理的に吸着し、枝分かれしたミクロ孔からは溶媒抽出されなくなったと考えられる。
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