研究課題/領域番号 |
13680173
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研究機関 | 島根県立島根女子短期大学 |
研究代表者 |
乃木 章子 島根県立島根女子短期大学, 家政科食物, 講師 (90312305)
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研究分担者 |
塩飽 邦憲 島根医科大学, 医学部・環境保健, 助教授 (10108384)
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キーワード | 内臓脂肪型肥満 / 行動変容 / 健康学習 / 行動目標 / 自己決定 / 自己評価 / ストレスマネジメント |
研究概要 |
【対象と方法】 35-75歳(2000年女45名、2001年男11名・女30名、2002年男19名・女31名)を対象に8-11月の3ヵ月間のすこやかライフプログラムを実施した。プログラム開始前後に、内臓脂肪型肥満に関係する体格、血液生化学、食習慣、活動調査を行い、万歩計を配布した。 2000年の反省から、2001年には食行動と日常生活活動に関して参加者が自己評価可能な行動目標を明確にし、体格と生活習慣の自己評価のために、週1回の体重測定と記録、毎日の歩行量測定を推奨した。2002年には、これらに加えて各自の設定した行動目標の達成度を記録することを勧めた。健康学習は、全員で行い、「第1回:検査と生活習慣調査の見方」、「第2回:食生活改善の方法、ウォーキングの方法」、「第3回:ストレスを受け流す方法(2001-2002年のみ)」から構成した。2000年は講義と質疑応答が主であったが、2001年からはグループワークを取り入れ、参加者の創意工夫を全員で共有できるようにした。また、2002年には、間食を避ける対人関係づくりについての劇を取り入れて、生活習慣の自己評価や支援環境づくりの方法を学んだ。募集は2001年度から公募とし、2002年度では家族や友人とのグループ参加を推奨した。 【結果と考察】 プログラム改良によって、体重変化は、2000年0.1kg増、2001年1.0kg減、2002年1.8kg減と年々改善した。また、体重減少の増加につれて、ウエスト囲、ヒップ囲、ウエストヒップ比、皮脂厚が減少した。血液生化学的検査値では、2000年にはHDLコレステロールを除いて改善を認めなかったが、2001年と2002年には血圧やLDLコレステロールの有意な減少を認めた。2002年では、エネルギー摂取量は3年間で最大幅の250kcal減少し、歩数は2001年と同程度約4000歩増加した。体験学習および行動の自己評価記録が自己効力感を高め、グループワークおよび家族や友人による支援環境がストレスマネジメントに効果的であったと考えられる。 以上のことから、行動科学を応用した「栄養学習と自己決定に基づく食行動変容プログラム」は、地域集団の内臓脂肪型肥満の改善に対し、有用性と適応性が高いことが明らかになった。
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