研究概要 |
高齢社会の進行とともに,高齢農業従事者の疲労とその軽減対策は農村保健における重要な研究課題となっている。本研究においては,これまで実施してきた山口県大島郡内の柑橘類栽培農家を対象とした疲労調査結果を踏まえ,高齢農業従事者の健康を規定する生活環境要因について,特に食生活を含む生活習慣と疾病との関連,食習慣と高齢者の健康の問題,農作業における疲労軽減対策も含めたQOLに関わる生活要因を明らかにし改善の方策を明らかにすることを調査目的とする。 14年度は,前年度実施したアンケート調査及び検診データの継続的解析により,高齢者の生活構造の中に潜在する健康問題の改善策についての検討,調査結果の一部について学会報告を行った。また,計画していた専業農家の食生活状況個別調査については協力が得られず実施することはできなかった。高齢者の栄養状態と食習慣の問題点,食生活のもたらす健康状況の問題点等について高齢農業従事者の健康問題改善に対する動機づけが不十分であったと考えられる。研究課題達成に資することを目的に,研究活動推進に関連のある研修会への参加を心がけた。 本年度の研究実績の概要を以下に示す。 1.アンケート調査及び検診結果による疲労規定要因の検討 前年度実施した疲労アンケート調査及び保健センターと周東総合病院から提供を受けた検診データについて,SASを用いた解析を行った。 2.調査結果の報告,発表 アジア農村医学会(The 9^<th> Asian Congress of Agricultural Medicine and Rural Health, Gyeongju, Republic of Korea,10.2002)において「Fatigue of Citrus Farmers Related to Their Life Style (柑橘類栽培従事者の疲労と生活)」について発表を行った。 3.研修会への参加 栄養代謝生化学講座,臨床栄養学術セミナー,栄養行政担当者研修会等の受講,研修を行った。 4.簡略化したアンケート調査票の再検討 調査結果をもとに簡略版疲労調査票の質問項目数,回答枝について再検討を行った。
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