研究概要 |
平成13年度は当初の申請に従って,現有ルミネセンス測定システム(NK95)の改良を行った。また,改良装置の精度向上の評価を行った。改良はネオアークK.K.に依頼した。主なる装置の改良点は(1)新たに熱ルミネセンス測定システムを付け加え,(2)集光システムをレンズ系に改善し,より高い集光率を確保した。(3)従来の緑色光励起システムのバックグラウンドを減衰させ,鉱物からのより強いシグナルを得られるようにした。(4)制御システムとしてウィンドウズ対応とした。以上の4点の改修を行った結果,装置の利便性は各段に進歩したが,制御系に改善の余地を残しており,現在調整中である。 この改良装置を用いて日本で始めて東北地方の段丘上に発達するローム層の熱ルミネセンス,光ルミネセンス年代測定を試みた。その結果,ローム中に含まれる石英や長石類からのルミネセンスシグナルが検出され,遺跡包含層としてのローム層の年代測定が可能であることが明らかになった。前者の方法では12万年前までの,後者では5万年前までの年代測定が可能であった。これ以上古い年代では期待年代に対し,測定年代の飽和現象が見られた。この成果を学術論文として公表した。 本年度は同時に,旧石器時代の年代測定に本法を応用するため,北海道今金町のピリカ遺跡の発掘調査に参加し,遺跡包含層であるローム層の採集を行った。遺跡を含む重要な試料が得られ,来年度に向けて本年度行った手法で遺跡年代測定を進める予定である。
|