研究概要 |
日本列島の表層を覆う広域風成塵について,最終間氷期以降中国大陸内部からの風成塵の影響であるとの視点から研究を行なった.また,筆者は多くの旧石器遺物が風成塵堆積物に含まれている点に注目してきた.椎積物は大陸から日本に偏西風によって運搬される過程で太陽光によって鉱物にそれまで蓄えた蓄積蛍光シグナルはゼロにリセットされる.実験でもわずか1分足らずで蓄積シグナルはゼロとなった.したがって,風成塵堆積物のシグナルは日本に到達した後のシグナルと考えられる. 堆積物,ロームから抽出した4-11μmのポリミネラルの熱ルミネセンス(TL)と赤外線ルミネセンス(IRSL)の年代測定を北海道,美利河旧石器遺跡の年代測定に応用した. 新しく開発した装置を用い,フィルターとしてBG-39とU-340を組み合わせTLおよびIRSL測定を行ない,蓄積線量を測定した.また,年間線量は原子吸光法と放射化分析により測定し,2.0-3.8mGy/yの値が得られた. 5万年以下の測定年代は挟在するテフラから推定される年代値とほぼ一致した,実験から得られた年代はTL/IRSL年代測定法が旧石器遺跡の年代測定に寄与できることを示している.
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