本研究は、光ルミネッセシス(OSL)年代測定の研究過程で明らかになった問題点(再現性の改善と感度変化の抑制など)を解決してOSL年代測定法を確立させることを目的とした。 測定を低温状態で行うことにより、電子の熱的活性化エネルギーを抑制することにより、再現性の良い、安定したデータを得ることを試みた。 平成13年度は以下の研究を行った。 1.窒素温度における石英と長石の光ルミネッセンス測定。 2.長石標準試料のIRSL発光色の確認。 3.遺跡試料の年代測定。 平成14年度は、前年度の結果に基づいて以下の研究を行った。 1.長石(微粒子試料)による遺跡試料のIRSL年代測定。 2.準微粒子試料によるIRSL年代測定の開発。 3.Single Aliquot法による測定の試行。 本研究により、長石のIRSL発光色の予備検討及び、プレヒート条件・測定温度の予備実験の結果から、測定条件を160℃で60秒のプレヒート、測定温度60℃に設定することにより、比較的安定した再現性のある測定結果を得ることができた。長石の異常減衰(anomalous fading)は測定した試料については観察されなかった。一方、石英のOSL(青色光励起)では、プレヒート温度と時間を120℃・10秒、200℃・10秒または310℃・300秒で比較的良好な結果を得たが、長石のIRSLのように再現性のある良好なデータを安定して得ることがはきなかった。今後、長石を試料とするIRSL年代測定データを蓄積するとともに、石英の最適測定条件をさらに検討することが必要である。
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