研究課題/領域番号 |
13680183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
狭川 真一 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30321946)
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研究分担者 |
井上 美知子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (70223279)
花谷 浩 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (70172947)
光谷 拓実 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 発掘技術研究室長 (90099961)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 古建築 / 年輪年代法 / 瓦 / 寺院 / 元興寺 / 飛鳥寺 / 考古学 |
研究概要 |
本年度は最終年度でもあり、研究成果のまとめを行った。 瓦では元興寺所蔵資料の一群中に飛鳥寺創建瓦と技法の共通するものがあり、色調や胎土など他の要素でも合致を見たことから確実に飛鳥寺所用のものが運ばれていることがわかった。 木材では抽出されたデータを年代順に配列した。最も古い一群は6世紀末頃に伐採したとみられるもので、そのうちの1点は588年+数年の範囲内に伐採されたことが確実とみられ、『日本書紀』記載の飛鳥寺創建が588年、同寺の木材切り出し記事が590年であることから、見事にその年代は一致した。次のグループは7世紀後半〜末頃に想定できる一群で、飛鳥寺の調査で天武期に大きな修理があったことが指摘されており、それに合致するものである。このことは元興寺に残された瓦に白鳳期のものが多いことからも証明され、飛鳥寺創建期の建物が天武期あたりに修理され、その建物そのものが奈良に移転してきていることを窺わせる状況と言える。これに加えて奈良時代に特定できる部材がほとんどなく、少なくともこの建物に限ってはほぼ完全に飛鳥から移転してきたことが考えられ、奈良時代では痛んだ一部の部材を差し替えた程度で終わったものと考えられる。 また、残る二つのグループから平安・鎌倉時代にも修理が行われたことが判明し、寺院の知られざる修理の歴史が明らかになるとともに、文献史料や考古学的な資料を加味することにより、寺院の栄枯盛衰の一端を知ることができた。今後は瓦の研究も含めてより詳細な検討が望まれる。また同様の方法は他の寺院においても実施可能であり、広く行われることに期待したい。
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