マイケルソン干渉計の実験は相対論の導入と光の干渉の実験として重要なものである。本研究では、この実験を現在のレーザーと光学装置を用いて比較的簡単に構築し、その実験手順、内容、デザインなどを通じて大学学部生程度のための物理実験の基礎の指導方法を検討することが目的のひとつである。 この際、教育系に進む学生には演示実験としてのスキルを、大学院で研究に進む学生には測定系や制御系、あるいはデータ解析の基礎を養成する目的で題材とするのが本研究の目的である。 今年度はフィードバック制御実験について、学部学生への段階的な導入を試みた。 干渉光を一定の状態にたもつには、いくつかの必要な要素がある。 ひとつは実験室環境の安定であり、現在使用している装置では温度変化による基盤の伸縮が長時間の運転を妨げる。 これを補正するには、変化量分をフィードバックしてやることである。フィードバック量を記録することにより、本来の外乱の様子も知ることができる。 段階的に導入するために、まず昨年度大阪市立大学の干渉計セットでおこなったフィードバック制御の電気回路、アクチュエーターを宮城教育大の干渉計セットに移植した。 つぎに、これを利用して装置に正弦波の外乱をあたえて線形応答を確認した。応答の較正については昨年度おこなってある(初心者の学生で3〜5%程度の精度でえられることがわかっている)ので、絶対精度に関わる部分は後回しにして、制御によって干渉光の安定が得られるかどうかを試みた。 また、正弦波による較正方法を利用して、薄膜圧電素子の動作を確認した。
|