研究概要 |
図学・設計製図教育との関連において空間認識能力の評価に広く用いられている心的切断テスト(または、切断面実形視テスト、Mental Cutting Test、以下、MCTと略す)、心理学分野で広く用いられている4種類の空間テスト(DAT(Differential Aptitude Test)、PFT(Paper Folding Test),MRT(Mental Rotations Test)、MPFBT(Minnesota Paper Form Board Test))、および、現在、世界で最も広く帰納的推論能力テスト(一般知能テスト)として用いられているAPM(Advanced Progressive Matrices)を、東京大学教養学部情報処理教育棟大演習室のコンピュータネットウェワーク上に実装し、東京大学理科1年次生(〜100名)を対象に実施した。各種空間テストの得点についての因子分析、および、各種空間テストと帰納的推論能力テストとの相関分析を行った結果、空間認識能力には二つの下位因子-空間視覚化因子(MCT、DAT、PFTに寄与大)、空間回転因子(MRT、MPFBTに寄与大)-が存在すること、また、前者は帰納的推論能力と高い相関を有するが、後者は相関が低いことを明らかにした。これらの結果は、空間認識能力が階層構造を有しており、心的切断テストが帰納的推論能力と高い相関を有する高次の空間認識力を反映するテストであることを示している。
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