本研究では情報技術(IT)を教育分野で効果的に活用して、これまでわかり易く教える点で困難が多かった「力と運動」などの教育分野を"わかり易い"はもちろん"感動的な"授業とする最先端のIT活用研究を行った。 実体験が重視される科学教育分野で、実験をリアルタイム(バーチャルでない)に分析・考察する効果的なIT活用法の研究を特に重点的に行い、次のような特色ある成果を得た。運動分析ソフト「運動体解析ソフトMOA-2D」などの開発:運動現象をデジタルカメラで動画として撮影してパソコンに取り込み、その『位置』『速度』『加速度』などを視覚化して、運動法則を準リアルタイムに分析・解析する運動分析ソフト「運動体解析ソフトMOA-2D」などを開発し、あらゆるタイプの運動の諸要素をリアルタイムにグラフ化して実体験するIT活用学習を実現した。ITセンサーや運動分析ソフトの活用:「力学概念の形成」を効果的に行う「予測・検証する授業・学習法」の研究開発を行った。特に、「超軽量ミニ扇風機台車を作りとその運動法則教材開発」による摩擦の最小限な世界、「軽い『紙やアルミのカップ』による空気抵抗教材開発」による摩擦の支配的な世界、で教育法の開発研究を行った。 「IT活用による授業」効果の評価:IT活用の効果をプレ・ポストテストによって調査分析した。その結果、従来型の授業では達成度が低い「力と運動」の分野(作用・反作用、ボールの投げ上げなど)でも高い有効性を持つことを実証した。本研究の普及・発展のため、実験講習会や実習会などを各地で実施し好評を得てきている。 また、実験動画DVDの作成を依頼され「リメディアル☆フィジックス・力と運動」として完成し公表した。本研究の成果を国内外のカンファレンス、学会、研究会、ワークショップで広く講演・発表しその発展に貢献した。
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