本研究においては、以下の3つの方法を用いて、これからの高等学校生物カリキュラムのフレームワーク開発を試みた。 (1)昭和40年代以降、「生物」の学習内容配列がどのように変遷してきたかを把握する。 (2)アメリカの高等学校生物教科書における学習内容構成の現状を把握する。 (3)科学者・理科教育研究者・高等学校教員にインタビュー調査を行うことによって、これからの時代の高校「生物」に求められる知識内容とその構成、大胆な削除が求められる内容を検討する。 (4)上記(1)〜(3)の結果を受け、新しいカリキュラム・フレームワークを提言する。 研究の結果、日本の高校「生物」カリキュラムの構成が基本的に変化しておらず、しかし今、その構成に縛られることなく、新しい構成を考え得る時期にきていることが強く示唆された。そこで、主にインタビュー結果をもとに、以下のようなカリキュラム・フレームワークを提言した。 単元1 生物学の特色:多様性と一様性の生物学(「進化と系統分類」配当時間1/10) 単元2 生命の連続性:変化と連続性の生物学(「遺伝と発生」配当時間4/10) 単元3 生命の相互関連性:エネルギー獲得とシステムとしての生物学(「光合成・呼吸・生態系」配当時間3/10) 単元4 環境と生命の相互作用:ホメオスタシス(「環境に対する動物と植物の反応」配当時間2/10) このフレームワークの特徴は、第一に「あらゆる高校生」が学ぶことを想定したものであること、第二に現代生物学の研究や知識体系の現状を柱にしつつも、生物学に関連した社会的課題を学習の文脈として採用したこと、第三に従来の学習内容に縛られず、その大胆な削除と追加を試みたこと、そして最後に学習内容の時間配分にも大胆な変更を加えたことの3点である。
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