研究概要 |
本年度の研究実施計画に基づき,以下の3テーマについて教材開発を行った。1.光合成とエネルギー問題…インターネット環境を整備し,光合成型太陽電池の研究に関する情報を収集した。その情報に基づき,簡単な手作りの光合成型太陽電池を試作し,それを用いて,植物色素の種類による光増感作用の違いを明らかにした。また,微細藻類(クロレラとスピルリナ)を用いれば,OHP光源(ハロゲンランプ)下,30分の照射によって大量の酸素が得られることを見出し,教育実践により環境学習の題材として有効であることを示した(化学と教育,投稿中)。なお,中学校でも容易に使用できる簡易気体分析法を開発し(化学と教育,49巻6号,8号),光合成で発生する気体中の酸素と二酸化炭素を定量した。2.植物色素…緑藻(2種),褐藻(3種),紅藻(2種)を用い,クロロフィル(3種)とカロテノド(6種)の存在を示せる題材を開発した。分離・同定には薄層クロマトグラフィー(TLC)を使用し,プレート,展開槽,展開溶媒は,中学生でも使用可能なものに限定した。また,エビ(3種)を用い,TLCにより含酸素カロチノイド(アスタキサンチン等,7種)の分離・同定が行えること,生エビと茄でエビの色(色素)の違いが簡単に示せることを明らかにした。ここでは,藻類とエビの色素を比較させることにより,藻類の色素が水産動物に蓄えられる道筋を示すことができる。なお,紅藻(1種)と藍藻(1種)を用い,フィコビリンタンパク質の抽出とTLCについても検討した。さらに,アントシアニンの標品を集め,TLCによって簡単に分離・同定する方法も検討している。3.水と環境…先報のCOD簡易測定法を発展させ,少量の試料水につき高感度で分析できる方法を開発した。また,電気分解後の溶存気体を利用する燃料電池について,当初電圧を高くし,かつ,長時間の使用に耐え得る条件を明らかにした。
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