研究概要 |
本研究の目的は,(1)数理的思考能力と数理的処理能力の養成を目標として,(2)モジュール形式の大学初年級向けの物理と数学の統合教育課程の構築と教材開発を行い,(3)インターネットによってその共有化を図る,という実際的研究の実施である. 数理的思考能力,数理的処理能力とは,たとえば,直面している問題をモデル化し,モデルを数式化し,数式を解き,得られた解の意味を検討し,理解するという,具体→抽象→具体の一連の作業を実行する能力である.したがって,抽象的な数学を,自然現象,経済現象,人工現象などと関連づけ,数学がどのような形で具体的な.問題に適用されているのかを学ぶという方針で,下記の研究を行った. 1.礎数理モジュール群の作成物理学,工学などにおける数理的手法を身につける第1歩として,自然現象経済現象,人工現象への応用例を豊富に取り入れ,変数と関数という考え方を理解し,増加,減少,振動などを表現する初等関数を利用できるようにするための,1.数と演算,2.式の計算,3.記号の使用と変数,4.関数とグラフ,5.次元6.三角関数,7.指数関数と対数関数 等のモジュールを作成し,本研究の中間報告書として刊行し,識者の意見を伺うとともに,PDFファイルを作成してhttp://hara.thu.ac.jpに掲載した.図の作成を中心とするファイル作成に謝金を使用した. 2.微分積分学・力学モジュール群の作成微分,積分を物理学,とくに,力学とともに学ぶための,1.微分,2.積分,3.微分方程式4.振動,5.フーリエ級数,6.複素数 等のモジュールをほぼ完成した. 2つのモジュール群では,同じ事項をくり返し学ぶ場合があるが,そのたびに新しい見方で学ぶので,単なるくり返しではなく,理解が深まるよう配慮した.
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