本研究では、すでに問題が生じており、生態系の復元とその保全・管理が必要な国外および身近な環境に日本の大学生が身を置くことにより、従来の大学での環境教育では重点が置かれてこなかった以下の3つの視点を盛り込んだ環境教育プログラムを実践した。1)大学生が地域の現実の問題と向き合う、2)行政、NGO、市民教育機関などと大学とのパートナーシップによる環境改善を実践する、3)プログラムには環境教育に必要な7つの以下の要素を含める:(1)原体験と現場学習、(2)現状の把握、(3)調査技能や手法の習得、(4)問題点の発見、(5)問題解決策の提示、(6)解決策の実行(7)モニタリングを通じ、解決策の妥当性と限界を評価する。本年度は以下の2つのプログラムを開発し、実践した。 1)オーストラリア熱帯雨林の復元プログラムの開発と実践 研究代表者、研究分担者および本プログラムの共同実施機関であるSchool for Field Studiesとの共同研究によって、日本の大学生に適し、また、上記の環境教育の要件と満たすプログラムを開発し、平成13年の夏季にオーストラリアのケアンズの世界遺産に登録されている熱帯雨林にて講義、フィール見学、フィールド演習、調査からなる18日間のプログラムを実施した。学生評価と検討事項の検討も行った。 2)横浜市の水辺の環境改善プログラムの開発と実践 横浜市のエコアッププロジェクトの一環として整備された水辺のうち、水質の悪化、水量の減少、移入種の増加が懸念される横浜市港北ニュータウンの公園内の水辺を対象として、大学(武蔵工業大学環境情報学部学生と教員)、行政(横浜市環境科学研究所、公園事務所)、公園愛護会(NGO)、市民によるパートナーシップによる水辺改善のプログラムを開発し、1年間実践した。その結果、パートナーシップは教育内容を深化でき、問題解決のための方策を効率よく実施でき、その結果をモニタリングし、評価することができた。
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