生態系の復元と保全を目的としたパートナーシップによる大学の環境教育の展開と実践

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13680209
• 研究機関: 武蔵工業大学
• 研究代表者: 小堀 洋美 武蔵工業大学, 環境情報学部, 教授 (90298018)
• キーワード: 生態系の復元と保全 / 地域社会 / 大学生の環境教育 / 実践的教育 / 熱帯雨林の復元 / パートナーシップ / 復元手法 / 評価手法

研究概要

本年度は研究計画に基づき、以下の3つの研究プロジェクトを実践した。
1)日本の大学生を対象としたオーストラリアの熱帯雨林の復元・保全プログラムの改善
アサトン高原の熱帯雨林において、地域社会と結びついたパートナーシップによる熱帯雨林の保全と復元、孤立した熱帯雨林をつなぐコリドー建設のための植林、生育調査を主な内容としたプログラムを計画した。本研究の海外共同研究者および国際的なフィールド教育の専門教育機関であるSchool for Field Studies(SFS)の熱帯雨林研究センターと協力して、世界遺産に登録されているオーストラリア・クイーンズランド州のアサトン高原において、1)現地体験学習、2)熱帯雨林の重要性と復元の必要性の理解、3)熱帯雨林の再生に必要な熱帯雨林の固有樹種の種子の処理と苗木の生育手法の習得、4)地域社会とのパートナーシップによる孤立した熱帯雨林を緑の回廊でつなぐための植林、5)河畔の植林活動、6)植林樹種の生育調査を含むプログラム開発をおこなった。しかし、本年度は8月に実施予定であったプログラムはSARSの感染防止のため、やむなく中止した。
2)オーストラリアの官・学・民のパートナーシップによる熱帯雨林の復元・保全活動についての実施調査の追加
オーストラリアの連邦行政、州政府、研究・教育機関、環境NGO、農業組合など多様な機関で行われているパートナーシップによる熱帯雨林の復元・保全活動について、現地調査を行い、その特性を明らかにした。
3)3年間の調査研究の取りまとめ
生態系の復元と保全を目的とした大学生のための実践的なアプローチを用いた新たな環境教育プログラムを開発し、そのプログラムを国内外で実践した。その結果や意義について取りまとめた。

研究成果

• [文献書誌] H.Kobori, B.Williams, B.Bussel: "Restoration of tropical rainforests : A model for collaborative learning in higher education."Marco Review Special Issue. (Japan Marco-Engineers Society). Vol.16 No.1. 560-564 (2003)
• [文献書誌] Hiromi Kobori, Richard Primack: "Participatory conservation approaches for Satoyama, the traditional forest and agricultural landscape in Japan."MBIO(A Journal of the Human Environment, the Royal Swedish Academy of Sciences). Vol.32 No.4. 307-311 (2003)
• [文献書誌] Hiromi Kobori, Richard Primack: "Conservation for Satoyama, the Traditional Landscape of Japan"Arnoldia. Vol.62,No.4. 1-10 (2004)
• [文献書誌] 小堀洋美, 野村迅史: "官・学・民のパートナーシップによるオーストラリア熱帯雨林の保全と復元活動の現状"日本環境学会第29回研究発表会. 24-27 (2003)
• [文献書誌] 小堀洋美, 土屋滋俊, 矢澤優亮, 大島正子: "バイオジオフィルター法(BGF)による水質浄化効果の検討と市街地の小規模な池を対象とした本法の実施"武蔵工業大学環境情報学部紀要. No.5. 89-98 (2004)
• [文献書誌] 小堀洋美, 所登士, 久居宣夫: "IBI(生物保全指数)による東京都主要河川の環境評価手法とそれに基づく多自然型川づくりの評価"応用生態工学会第7回研究発表会講演集. 157-160 (2003)